□私立春川学園!
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ふわりふらりと意識が浮上していく。
ああ気持ちよく眠ってたのに・・
それにしても下半身が寒い。
何だかスースーするんだけども。
え?やだ、俺ってこの歳にしておねしょ?
失禁?えええー・・・そんなの信じたくない!
そんな真実いらない!
目を開けなきゃ!
濡れた感触はないけども!
万が一おねしょだったら・・・俺っ
ああああ眠い!
開、眼!
「ううー・・・・ん、・・ん?」
「よお、起きたかよ。」
「・・・・何してんの厚木?」
俺の下半身に厚木。
何なのこれシュール!
ん?てか、え、ちょっと待って、え?
「おま・・・何脱がせてんだよ変態っ、」
成程・・・俺の下半身のスースーした開放感は
厚木が俺の下着ごとジャージを脱がせていたことが原因なのか。
「何してんのかっていうと夜這いだな。」
「わけ分からん!・・・鍵閉めてたよな俺!?」
すっごい当たり前みたいな顔してるけどな?
不法侵入は立派な犯罪だし、夜這いなんて変態行為も犯罪だぞ!
「ああ、だって開いてたし、お前不注意だな。」
「ガッデム・・・っ!!!」
馬鹿!俺の馬鹿!
明らかに俺のせいじゃん!
責めらんねえよ!
まじ何で鍵閉め忘れてんだよおお!?
「つうかさ・・・お前これ。」
俺の空気を読まないドジっこ発動のショックが大きくて両手で頭を抱えていたところに声が掛かる。
「何?何なんだよ?もう・・・・ってああ。」
納得。
じー、っと俺の性器を見つめる厚木に興奮?
いや興奮した覚えはない。
熱?まあ冷静さが戻って来た。
「切ったのか?」
「本から無ぇんだから無ぇんだよ。」
「存在しないと?」
「まあそういうことだ。」
「何でここに・・・・、」
「色々あるんだよ。」
「・・・じゃあ上は?」
「貧相だがな、一応。」
「そうか・・・。」
「そうだ。」
ふう、と息を吐いて俯く厚木。
リアクションが大変薄いけども一応驚いてんのかなー?
まあ仕方ないわな、衝撃の事実ってやつだし。
取り合えず今のうちに下着とジャージを穿き直すことにした。
んで胡坐をかいて厚木を呼んでみる。
「厚木ー。」
ゆら、と肩を震わせてそろそろと顔を上げる厚木にほっ、と息を吐く。
「別にバラしてもいいからな、理事長公認だし。」
俺気にしない人だし。
ま、親に若干迷惑掛けちゃうけどね。
そう言うと綺麗に整った眉をひそめて、唐突に、
「・・・愛があればいいか。」
とか抜かしやがった。
「は?」
今の流れで可笑しいだろ?
話噛み合ってないんだけど。
こいつ以外と馬鹿なの?
「俺はぶっちゃけるとゲイだ。」
カミングアウトォー。
こんな学校にいりゃな?そうなるわな?
「まあ薄々は察してましたがね・・・。」
「男であるお前が好きだ。」
だろうな。
「・・・おお。」
「だけどお前は男じゃない。」
「そうだな、はっきり言われると実感しちゃうな。」
「それでも好きだと思う俺がいる。」
「・・・・・や、やめれ、照れる。」
「つまり性別の壁は愛でなんとかなるという考えになった・・・・結婚しようぜ。」
ぽっかーん
まさにそんな顔をしているだろう俺。
だってこいつ何て言った?
好き?結婚?気が早いわ!
つか、え、だってゲイなんだろ?こいつ。
あ、愛があればって・・・だってっ
「ふっ、顔赤ぇ。」
「うっせえよ馬鹿!」
「あ、ここにいる間はセックスはしなくてもいいぜ?」
「雰囲気台無しだぞ変態・・・・手コキとフェラでなんとかしてやるっ、」
「やばい考えただけで勃ちそう。」
「変態・・・・。」
「・・・なあ本名は?」
「教えん、でも卒業してまだ俺が好きだったら教えてやらんでもねえ。」
「じゃあついでに子作りな。」
「んぎゃ!」
そう言って厚木はいきなり俺を抱きしめて、
そのままベッドに倒れこんだ。
トクトクと厚木の心臓の音が聞こえてくる。
あー厚木の匂い。
さっきまで頬は火照っていたのに、
段々と落ち着いてきた。
何と言うか愛って偉大・・・なんちゃって!
いつもの調子に戻ってきたし!
「厚木ー。」
「ん?」
「俺が幸せにすっから。」
「・・・逆じゃね?」
「だって俺お前愛しちゃってるもん。」
「それ・・・・勃ちそう。」
「抑えろよぉ・・・・つか眠い。」
「そうだな。」
「寝るから・・・俺。」
「ん、おやすみ。」
「ちっ平然と言いやがって・・・おやすみ。」
触れた場所から心臓の鼓動が、体温が伝わってきて、
忘れていた眠気が襲ってきた。
「――――、」
厚木が何か言ってた気がするが、まったく聞こえない。
意識がだんだんと無くなっていく感覚を感じながら、俺は眠りについたのだった。



「愛してる。」

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