ファイアレッド・リーフグリーン編
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ニビシティ――トキワの森やオツキミ山に阻まれ、一見すると閉鎖的な町に見えるかもしれない。しかしながらそれは先入観の勘違いであり、品のある賑やかさを内包した町なのだ。カントー随一の大きさを誇る博物館には、貴重な化石が多く展示されていることで名を馳せていたりもする。
そして彼女、トモエの一番の目的地もあった。
「ポケモンジム……」
全国のポケモントレーナー達が自らの腕を磨き上げ、鍛え抜いたポケモン達と腕試しをするところ。
そのジムを収めるのがジムリーダー。
町の治安維持などにも協力し、いずれもつわもの揃いで立ちはだかる高き壁なのだ。
見事勝利を収めることができれば勝者の証としてジムバッジを貰え、一地方ごとに八つのバッジを揃えた者だけがカントー最難関のセキエイポケモンリーグに挑戦することができる。
そして、至るべき頂点はリーグチャンピオン。ポケモンバトルの頂点、カントー地方で一番強い者となれるのだ。
この町のニビジムを統括するのはタケシ。
エキスパートタイプは岩。
岩タイプということなので、フシギダネのだねさんがいるトモエには大した脅威にはならない。……だが油断をすれば、相手ではなく己に負けるということも理解していた。
トモエは今、ニビジムの目の前にいる。
意を決し、観音開きの扉を開いた。
「たのもぉお!」
鼓舞するように、大声で叫んだ。