エメラルド編


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 流星の滝は、大型の鍾乳洞の中に大小様々な滝があるという、どちらかといえば洞窟として成り立っている。
 大昔に遠い惑星からの隕石が降り注ぎ、今尚未知が眠る場所なのだ。

「すみませーん、ソライシ博士ですかー?」

 幾つもあるクレーターの真ん中に、白衣姿にヘルメットをかぶっているというアンバランスな格好をした男性の姿があった。

「ああ、そうだけど。君は?」
「しがないトレーナーですっ」

 そう自虐して、ハルカはクレーターへと飛び降りる。

「ということは……進化の石とかについてかな?」
「偶然出会ったポケモン転送システムのマユミさんに教えてもらいまして」
「うん。じゃあもうしばらく待ってもらえるかな。今丁度大きな隕石が採掘できたから」

 へらりとソライシ博士は微笑んだ。

「それは……大変な功績ですね」
「大変な物品であることには間違いないね。……ただね、こういう研究だから、なにかと研究費用がかさんだり人手不足だったりで、水面下ではとても苦労するんだよ」

 研究者も職業の1つだ。
 自分の生み出した成果を売る職業。

 ポケモンの分布を虱潰しに調べていけるオダマキ博士とは違い、ソライシ博士はいつ出てくるとも知れない隕石との格闘なのだ。

「でもね、今回はある環境団体がスポンサーとして費用をバックアップしてくれてね。ここまでできたのはそのお陰だよ」
「そうなんですか」
「なんでもその環境団体は海の保全活動をしているそうでね、『海の美しいこのホウエン地方を護らなければならないのです!』って熱心なんだよ。特に、化石に関しても調べたりしているらしいよ」
「へぇ……」

 半ば生返事になってしまったが、ソライシ博士は気にも留めず、うんうんと頷きながら話した。

「あ、ソライシ博士ー!」

 女性の声が響き渡る。

「隕石をお持ちしましたー!」

 声につられて振り向くと、ハルカは驚愕せざるを得なかった。

 マグマの連中からの被害が大きかった所為か、忘れてしまっていた。
 最初、デボンのパーツを持っていた商社マンを襲ったポチエナは、アルファベットのMをモチーフにしたイヤーカフスではなかった。

 アルファベットのAをモチーフにしたシンボルマーク、そして海の科学博物館にてマグマの女性に襲撃された時、クスノキ艦長はなんといっていた?

「ア、クア……っ」

 頭に巻いた青いバンダナには、あのポチエナがしていたイヤーカフスと同じ、Aのモチーフがあしらわれていた。

 どちらにしても袋小路だった、とハルカは半歩後ずさった。
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