B短文

□19.鳥になった少年
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※現パロ
※生まれ変わりネタ
※政宗総受
※公式ドラマCD『宿命!川中島の合戦』少々拝借、アニメストーリーも少々混ざってます
※とりあえずなにが起きても大丈夫な方だけデュエルスタンバイ!



 ――次生まれるときは、鳥になりてぇな――


チチチッチッ……

鳥の囀りで目が覚める。自分より早い目覚めに、ここは彼に似ていないのだなとくすりと笑みが漏れる、よし!と気合を入れて起きるとその声の主である小鳥の朝御飯の準備を始めた。

幼馴染の佐助は俺が鳥を飼ってることを聞いた時、信じられないと言う顔をして『鳥!?似合わない!!ちゃんと餌やってる?え?もしかして、大きくして焼き鳥にするためじゃないよね??』

貴様は俺を何だと思っているのだ。

「ま、政宗殿」

その名を呼ぶのはまだ照れる。

彼と出会ったのは半年前、何気に入ったペットショップで目に入ったその青い色に思わず目を奪われた。

思い出したのは遠い昔、今の俺が生まれるさらに前……数百年もの昔、戦場で目にしたあの鮮やかな蒼………

全く同じ蒼ではないが、その美しい青色を纏った鳥に一目ぼれをした。なんという鳥かは(店員から説明されたが)忘れたが、学生の身分では少しばかり値が張るそれを何とか金を工面してかってから、それは大切にしている。

その時に…出会った時に感じに彼の名前を…酔狂なんかでその名前をこの小鳥に与えたわけではない。

彼はあの時……幾度となく彼と刃を合わせ戦ったが、最初の戦いは俺の勝ちだった。だがそれは不本意ながら佐助の助けがあったからで、俺の実力じゃない。その事もあって、殺せと言ってきた彼に止めを刺すことは出来なかった。彼はその事に憤慨してたが……

だが、その時…俺の一撃を受け彼が死を覚悟したときに呟いたのが聞こえた。

生まれ変わりなんて…そんな夢みたいなこと……とその時は思ったが………だが、今あの乱世の時代の記憶を持つ自分がこの泰平の世にいる現実。

この政宗殿に出会った時、大袈裟かも知れぬが運命を感じた。本来なら、同じ人として今一度会いたい願ってはいるが……彼の願いを叶えてあげたいという想いもあった。

あの方は、一見自由人のようでいたが奥州やその部下、その地に住む人々という鎖に繋がれて、自由に飛ぶことが出来なかった。あの時

、鳥になりたいと言った気持ちは自分が同じ立場になって漸く分かった。国とその住民の運命が某の背に掛かっている、幾度と無くその重圧に押し潰されそうになった、彼はその重圧にずっとずっと……

籠の中にいるその鳥を見る。

彼の願い通り自由に大空を飛ばしてあげることは出来ない。

もし離したら……俺の手から逃げて、二度と戻ってこないことが怖いのだ。

俺はあの時から……いやきっと出会った時から俺は彼に懸想していたのだと……今の世で漸く気付いた。

政宗殿とその名を呼べば、自由に飛ぶことは出来ない籠の中、人の声ではないチチチ……と言う可愛らしい声が返って来た。





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