最強数字決定戦
1ページ/4ページ



「あーもう!いい加減にしろ!」

まるで子どもみたいな──厚着してストーブの熱気の籠もる部屋を動かない彼女を、母親のように叱りつける。
それでも返事をしないどころか、さらにコタツの核心部に逃げこもうとするのなら、こちらとてそれなりの制裁をするまでだ。

ストーブの火を消して、いい歳こいた大の大人をコタツの中から引っ張り出した。


「寒いのは誰だって同じなんだからな!
こんだけ部屋ん中暖かくしとくならせめて片付けくらいしろって。」

毎度の事ながら来る度に散らかっている部屋──脱ぎ捨てられた服や積み重なった食器を見ると、どうしてこんなのにずっと付き合っているのかわからなくなる。
彼女との生活の中で俺は、呆れも頂点を越えると溜め息すら出なくなるのだと学んだなぁ…なんてぼんやり考えた。
しかし当の本人は気にする様子もなく、綺麗な唇は至って平然と俺の頭を悩ます言葉を紡ぐ。

「んー。だって片付け苦手だもん。」


俺の血管が切れる前に、とりあえず彼女の頭をバチコーンと叩いた。
(恋人同士の日常生活に手作りハリセンが必要不可欠であることの異常性は、この際考えないようにしている。)



次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ