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□それでも地球は軌道を廻る
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みんなは私たちを太陽と月と地球に例える。
彼が太陽で私が地球。
いつでも降り注ぐ愛を受けて羨ましいねと、みんなは笑う。
私が太陽で彼女が月。
いつでも私の横にいる彼女の姿は、クルクル廻る月のよう。
彼が太陽で彼女が月。
彼と彼女は惹かれあっても、触れ合うことはないからと。
だから安心しなさい、と。
でもそれは違う。
嘘。
月と太陽が触れ合うことはないなんて、そんなものは地球から見た話。
私は知ってる。
月が地球の軌道の内側にいるとき、月は地球より太陽の近くにいること。
地球が雲に覆われているときだって、月からは太陽の光が見えること。
満月の夜、月は太陽の光をすべて受けていること。
その光は地球に降り注ぐ日光より、はるかに優しく輝いていること。
今日だって太陽と月はひとつになる。
地球の上の私はただ、眺めることしか出来ないのに。
そんな私に同情するかのように、今日は朝から雨が降り止まない。
「無駄になっちゃったな、これ…。」
色違いの日食グラスを机の奥深くにしまってベッドに寝転んだ。
鳴り止まない携帯はきっとどれも、彼と彼女が雨の中で抱き合っていた話。
そんなことはどうでもいい。
なにがあったって、地球は太陽の周りを廻り続けるしかない。
それでも地球は軌道を廻る
(騙されきれないのが悲しいの。)