トランペット吹き男と
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「夜中に笛吹くのは不吉なものだ」
とうちのばぁちゃんよくいってたけど、

成る程こういうことだったのか。




…――遡ること数分前。

路地裏でトランペット吹く俺
に、
突然近づいて座り込んだ彼女。

あぁ恐ろしい生き物がやってきた。



天使のような美しさと悪魔のように魅力的な目が、俺の心を掴んで離さねえ…。


漆黒の髪を揺らしながら耳を傾ける姿は、
妖艶にも無邪気にも見える。

かわいいなぁ…。
仲良くなりてぇなぁ。

でもこの際、
どんな理由でここにいて、
なんて名前かなんて関係ない。
ただ、今この時間を楽しみたい。



とは言うものの…


テンパり音を間違えまくる俺。
目の前の君、ちょっと笑ってる。

うわ…恥ずかし!!爆

自分の耳が赤くなるのを感じる。


でも君の笑顔が見れて幸せで…
わざと間違えてます、ってね!

…なんてウソですスミマセン。
ただの技術不足です、はい。


にしても笑い顔かわいーなぁー…。

君の風のように軽やかで炎のように情熱的な唇が俺のリズムに合わせて動いているのを見ると、これは夢なんじゃないかって思う。


「一目惚れなんてありえねーだろ、フツー」とかいって笑ってた昨日までの俺、ちょっおま、馬鹿やろう。


あぁでもこれは夢じゃねぇんだな。

だって酔っ払いが「ヘタクソ」って蹴った石、確かに痛みがあるからね!



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