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□純白の世界でアナタへ
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…──ピッ…ピッ…ピッ…
規則正しい音が部屋に響く。
──……
────………
──────………
そんな悲しい瞳でこっちを見ないで。
私を心から笑わせたいなら、
あなたが心から笑ってよ。
私が悲しくなるのはあなたのせいよ。
そんなに涙がどこから溢れるの?
私はまだここにいるんだから、
今を一緒に楽しんでよ。
あなたが思ってるほど私は辛くないの。
生きることに対する未練はないけど、
あなたに対してはあるみたい。
「あの日あの時分かっていれば…」だなんて言わないで。
せめてあなたは前を向いてよ。
残念だけど死神は私の心臓離さないから…。
こんなあなたの顔見たいと思う?
全身全霊悔やむくらいなら、
あなたが幸せになってよ。
私が疲れるのはあなたのせいよ。
死の世界に対する恐怖はないけど、
あなたを残していくことが恐いみたい。
「あの日あの時気付いていれば」だなんて言わないで。
そしてあなたは未来を生きてよ。
残念だけど神様は私の身体を見離したの。
あなたに対しての愛情はあるけど、
あなたに対しての未練は断ち切るわ。
それしか私には出来ないから。
純白の世界でアナタへ
(薄れゆく意識の中で想う。)
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