まよねぃず
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「油と卵と酢を混ぜるとマヨネーズになるんだって!知ってた?」


静かな本屋の中で隣の馬鹿が声をたてた。
彼は今、「月刊子供の科学」という雑誌を読んでいる。

昔こそ"恥ずかしい"と感じたものの、今ではそれが当たり前と思ってしまうあたりが彼の色に染まってきた証だろうか。

「知ってた。常識。」

眺める女性誌には「デートで本屋に行くこと」に対する男女の分析が載っている。
『男から本屋に誘うのは知識をひけびらかしたい気持ちの表れ』
『女から本屋に誘うのはデートに飽きてきた気持ちの表れ』
──いつもデートの最後に私から本屋に誘うことを考えると、あながち間違ってもいないのかも知れない。
もっとも私の場合は、デートに飽きたというより、デートに疲れた、なのだけれど。


「それはメグさんみたいなマヨラーの常識でしょ?俺みたいな一般的平凡人には新鮮な驚き。」

確かに私はマヨネーズが(人より少し)好きだけれど、

「そうじゃなくても普通は知ってる。」


私の言葉が聞こえなかったのか、はたまた無視しやがったのか、隣のお子様は本に熱中し始めた。


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