トランペット吹き男と
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演奏しながら盗み見た、フリルのスカートを気にしながら地に座る君は、悲しそうにも清々しそうにも見える。

ちらっ

ちらっ



「…ねぇ。」


突然彼女の唇が開いたことに驚いて、俺の相棒からプピッとあられもない音が出た。
(まぁ、出したのは俺だけどね。)

ヘタクソーとどっかから野次が聞こえた気がするけど俺の心までは届かない。


ぇ?彼女俺に話しかけてるの?

だって今周りに他に誰もいないよね?

あんな演奏じゃ客が寄りつくはずも無いし。


ってことはやっぱ…

まじでか!!

きたーーー(・∀・)ーーーい☆



「…なっ何すか?」

冷静を装って言ったつもりだったけど若干声が裏返った。

うわ俺テンパってる!!かっこ悪!!


「これなんて曲?」

「ぁっ、今吹いてた曲?」

他になにがあるんだ俺の馬鹿野郎!


その曲は最近人気の女性ポップグループの新曲。
新しい生活への期待と不安を表した曲。

俺は彼女に曲名とそのグループ名を伝えた。


イイ曲だねと言われて何故だか俺がありがとうと返してしまった。

うん、別に俺が作ったわけではないけれど。



「……」「……」

一度口から離してしまったトランペットをまた戻すタイミングが掴めず、(恋する俺には)好ましくない沈黙が流れる。

本当は君が、どこの誰で何歳で、あわよくば彼氏がいるのか知りたいけど今はただ、君を見つめることしか出来ない。

そんな自分が情けなくて、ポリポリと頭を掻いた。



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