凱旋門
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「…おめでと…。」


驚きすぎて口がパクパクしてしまう。


「すごいよね!俺、コンビニの店長だよ!!」

「…すごいねー。」

「うん!!
だから、約束通りフランス行こう!!」


「…は?」


いきなりの話の飛躍にあまりに驚きすぎて、話の流れについていけない。

約束って何?
フランスって何?
そもそもその昇進の話は本当?

あっ、上司がこっち睨んでる。
私今仕事中なんだっけ。

だけど頭がこんがらかって、もうそれどころじゃない。


「…ごめん。状況が掴めない。」

「え?もしかして覚えてない?」

「…」

「もし俺が先に出世したら、フランスでもどこでも連れてってやるって言ったじゃん!!」


…そうだっけ?

私そんなこと言ったっけ?


あ、そういえば言った気がする…




…――

「ねー…、俺フランス行きたい。」

「行ってくればいいじゃん。」

「俺お金持ってねーもん。連れてってよ!」

「嫌だよ、私だってお金無いし。
自分で貯めなさーい。」

「無理。
だって俺プー太郎だし。仕事ねぇし。」

「ぁ、じゃぁわかった。
もしプーが私よりも出世したら、フランスでもどこでも好きな所に連れて行ってあげる。」

「…仕事探そ。」

「無理くさーい。」

――……




…あー、言った言った。
私確かにそんなこと言ったわ。

だって2人で世界不思議発見観てんのにあまりに騒ぐから。

それにそんなことあり得ないと思ったし。


「…とりあえず今仕事だから電話切るよ。」

「あっ!!待ってって!!
俺の勝利を祝って凱旋…」

「今日カレー作るから早く帰ってきてね。
それじゃ。」

ブチッ ツーツーツーツー…


無理に電話を切ってしまった。

きっと今晩はあのプー太郎のやつ、フランス連れてけってうるさいんだろうなぁ…



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