□ポッキーゲーム
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雲雀が真剣な顔をして了平にポッキーを差し出した。

「…くれるのか??」

ありがたく受けとろうとした了平の手を雲雀は空いた方の手ではたいた。

「ダメ」

「…どーしろというのだ??」

「口に銜えて。…噛まないでよ」

不思議顔のまま了平は言われたとおりにポッキーを銜えた。
雲雀は一体何がしたいのだろうか…。
了平は訳も分からずそのままにしていた。

「…そのままじっとしてて」

そう言いながら雲雀はじわじわと了平に近付いた。
そしてパクリとポッキーの反対端を銜え、了平との距離を縮め始めた。

「…ん、んんっ??!!」

ポッキーを銜えたままなので話す事のできない了平が慌てた。
近付いて来る雲雀の肩を掴む。
しかし雲雀は一向に顔を近付ける事をやめない。

「…ん〜!!」

ぱきっ。

近付く雲雀の顔に耐えきれずに了平が顔を背けると同時にポッキーが軽い音を立てて折れた。

「…了平、噛まないでって言ったよね」

ごごご…という効果音が似合いそうな表情で雲雀は了平を睨み付けた。

「な、なんなのだ、いきなり!!」

顔を真っ赤にさせて了平は反論する。
いきなり銜えろだの噛むなだのと言われても意味が分からない。

「了平…知らないの??ポッキーゲーム」

「…知ってはいるが…」

「じゃあなんで顔背けるのさ」

むすっとした顔をして雲雀が拗ね始めた。
知ってはいるが、何故いきなり雲雀とそれをすることになるのかが分からない。

「何故いきなりポッキーゲームなのだ??」

「たまたま今日山本武と獄寺隼人が教室でしてるのを見掛けてね」

正確には山本武が獄寺隼人に懇願してただけなのだけれど。
没収したついでに自分も興味本位でやってみたくなった、それだけ。

「…それならそうと言えばいいものを…」

はぁ…と大きな溜息をついて了平は箱の中から新しいポッキーを取り出した。

「ほら」

そう言って了平は雲雀にポッキーの端を銜えさせた後、反対側から食べ進めた。
次第に短くなるポッキー。
近付く2人の顔。

「…ん」

唇が触れ合う。
チョコレート味のキス。

「…満足か??」

了平がペロリと雲雀の唇を舐めて離れる。
そして恥ずかしそうに笑った。

「…恥ずかしい」

雲雀も耳を赤くして俯く。

「自分から仕掛けといてなんだそれは」

「…了平だって最初真っ赤だったのに」

2人で顔を見合わせて吹き出した。





いつだって仕掛けられる方がドキドキ。



End.

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