□目標ができました
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俺の部屋に戻ってから、気になっていたことを雲雀に聞いてみた。

「ところで何を買ったんだ??お前が御守りなんて…」

「知りたい??」

そう言って雲雀は意味ありげな顔をした。うむ、と頷くと、雲雀はにこりと笑って言った。

「安産祈願」

ちょっと待て!!安産祈願とはどういうことだ?!雲雀が子供を産むのか?!だとしたら、もしかするとそれは俺の子か?!いや、そうでなかったら極限困るのだが…っ!!

「冗談だよ」

…極限に質が悪いぞ、雲雀。ひとしきり俺の慌てふためく様子を眺めて満足したかのように雲雀が言った。

「…そうか」

思い切り脱力した俺に、雲雀は声を上げて笑った後、先ほど買った御守りを袋から取り出した。

「交通、安全…??」

中坊の頃からバイクを乗り回していた雲雀には一番縁のなさそうな言葉が、緑色の御守りの中央に書かれていた。

「草壁に…ね」

なるほど。そう言えば、最近草壁が免許を取得したという話を聞いた気がする。あいつの事だから運転に慣れた頃に、きっと雲雀のお抱え運転手にでもなるつもりなのだろう。

「…そうか」

「ヤキモチ妬いた??」

ちょっとだけ面白くない、と思っていた事が顔に出てしまったのだろうか。聡い雲雀にすかさずつっこまれてしまった。

「…うむ」

「まぁ、専ら僕が乗る訳だからね。9割方僕のためなんだけど」

「それは、分かっているのだが…」

なんだか腑に落ちない。雲雀と草壁の間に主従関係以上のものは存在しないと分かってはいるのだが…。なんと言えばいいのか極限俺にも分からん。

「了平も免許取ればいいんじゃない??」

名案だ、というように唐突に雲雀が言った。車なら僕が買うし、と続いたのは俺の耳に全く入らなかった。…俺が免許だと??

「…お前は、この俺に車の運転ができると思うのか??」

「仮免すら取れるか怪しいよね」

「なら言うな」

どうやら俺は雲雀にからかわれただけらしい。車の運転なんてのは、草壁みたいに視野が広くて、落ち着いた人間がするべきなのだ。間違っても俺みたいなアクセル全開でブレーキなんてまどろっこしくて踏まんような人間がするべきじゃない。

「わぉ、分かってるじゃない」

心中を口に出していたかは定かではないが雲雀は意外だ、という顔をしている。極限に失礼な奴だな。自分の性格くらい自分なりに理解しておるつもりだ。

「でも残念だね。了平が運転できれば、僕は草壁の車なんか乗らないのに」

「なっ…?!」

そういうことか!!俺が運転できれば雲雀は草壁の車に乗る必要がなくなるということか!!うーむ…極限に悩み所だ。

「了平の運転で、二人で海とか…行ってみたいな」

それは反則だぞ!!雲雀っ!!ちょこんと首をかしげる姿は極限可愛すぎる!!

「よし、今年の俺の目標は極限に免許取得だぞっ!!今決めた!!」

「了平のそーゆー所が好きだよ」

がぉぉぉぉ!!と新年初の雄叫びを上げた俺を見ながら雲雀が笑った。





(了平が免許取ってもしばらくは草壁に運転させよっと)





End.
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