物語

□裡
1ページ/1ページ



ある日。
蛙は誰か人間が飲み残した果実酒を偶然舐めた。


本来、異種の為の果実酒…


しかし
それはトテモ美味だった。


あの香る甘い液を鱈腹呑んで腹の中を満たしたい…
そう蛙は願うようになった。




ある日の満月の夜


蛙は全身の魔力を眉間に込めて月へと願いを送った。







チャプチャプ、パシャンパシャン…


甘い香り
頬が緩むような甘い味
この心地良い気分…


蛙の願いは叶って
次の日、池の水は果実酒になっていた。



口を開けて、喉を開き果実酒の池を泳ぎ回る蛙。


大量の果実酒を腹に溜めた…




幸せだ、幸せだ
と舌を踊らせ喜ぶ蛙は
その後すぐに死んだ。























ぷかぷかと、ただ池の中をさまよい浮かぶ蛙の白い腹



それはまるで…
あの夜の満月のようだった。






end

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ