物語
□裡
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ある日。
蛙は誰か人間が飲み残した果実酒を偶然舐めた。
本来、異種の為の果実酒…
しかし
それはトテモ美味だった。
あの香る甘い液を鱈腹呑んで腹の中を満たしたい…
そう蛙は願うようになった。
ある日の満月の夜
蛙は全身の魔力を眉間に込めて月へと願いを送った。
チャプチャプ、パシャンパシャン…
甘い香り
頬が緩むような甘い味
この心地良い気分…
蛙の願いは叶って
次の日、池の水は果実酒になっていた。
口を開けて、喉を開き果実酒の池を泳ぎ回る蛙。
大量の果実酒を腹に溜めた…
幸せだ、幸せだ
と舌を踊らせ喜ぶ蛙は
その後すぐに死んだ。
ぷかぷかと、ただ池の中をさまよい浮かぶ蛙の白い腹
それはまるで…
あの夜の満月のようだった。
end