短編小説
□愛しくて
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イエローは夕飯の買い物から帰ってきた。
この時間、レッドは家にいないはずだった。
しかし、玄関に入ってみれば、そこには彼の靴。
おかしいな。いつもならまだ仕事のはずなのに。
と、ふとした疑問を胸に抱き、玄関を上がってからレッドの名前を呼んでみるも、返事はない。
部屋の中を探すも、姿はない。
少なくとも、一階にはいないようだ。
だからイエローは階段を上り、二階の寝室へ足を運んだ。
果たしてそこに、彼の姿を見つけた。
彼は寝ていた。
穏やかに寝息をたて、それはそれは気持ち良さそうに。
イエローは彼の寝顔を覗き込んだ。
それは幼子のそれのように、無垢な寝顔だった。
そんなレッドが急に愛しく感じられて、イエローは自分の唇で、彼のそれにそっと触れた。
そして、そのまま寝室を後にして、夕飯作りにとりかかった。