短編小説

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『林檎飴のように』



「レッドさん、まだかなあ?」
この日、イエローはトキワの森付近でレッドを待っていた。今日はこの辺りで夏祭りが行われるのだ。

何故トキワの森でなのかというと、住宅が少ないから、ということになる。
要はどれだけ騒ごうとも全く問題がないということだ。
その証拠に、もう既に囃や太鼓の音が聞こえるし、子連れの夫婦や仲の良さそうなカップルの姿が増えつつある。

レッドがやって来たのは、彼女がそんな様子を見ていた時だった。

「ごめん、イエロー。待たせちゃった?」
ちなみに、レッドは遅刻した訳ではない。

「いえ、僕が早く来すぎただけですから」

「そうか、なら良かった。ってイエロー、その格好・・・」

見れば、彼女はいつもの服装ではなく浴衣を着ているし、髪もいつものポニーテールではなく、結い上げた形にしていた。

「え?あ、その・・・似合ってますか?これ」

「うん、すごく似合ってるよ」
事実、彼の顔は少し赤くなっていた。
彼はそれを彼女に悟られないようにするため、「行こうか」と言って歩き出した。
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