短編小説
□10000hit記念フリー小説(緑青)
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それからきっかり30分後、二人は祭りの会場にいた。
「すごい人集りねえ」
「年に一度の夏祭りだからな」
彼の言うように、夏祭りは年に一度、しかもこの辺りでは一夜限りだ。
彼がブルーの頼みを渋々とはいえ聞き入れたのは、そのためなのかもしれない。
「どの夜店に行こうかしら?」
「行きたいところにいけばいいだろう?」
「それはそうだけど・・・グリーンはどこか行きたい所はないの?」
「別にない。お前はないのか?」
「そうねえ、アタシは・・・」
それきり彼女は黙ってしまった。
それもそのはず、彼女が夏祭りに彼を誘ったのは一緒に過ごすための口実なのだから。
勿論、純粋に祭りを楽しみたい気持ちもあるにはある。