■書庫U
□返り討ち
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レークスとの闘いから数年が経ち、祇沙も平和を取り戻してきた。
あれから俺はライとともに賞金稼ぎとして、それなりに名を通らせていた。だから、籃閃には滅多に戻ることもない。しかし、帰り宿があるのは良いことだと思う(ライは未だにバルドに会うと舌打ちなどするものの、以前に比べれば話すことも多くなった)。
そうして俺たちは今日も、賞金稼ぎを狙って森へと出掛けていた―――。
目の前にはライの後ろ髪。前より少し長くなったように思う。そんなライの後ろを、数歩遅れてついていく。この距離が、好きだった。
ふと、ライが足を止め、こちらを振り返った。何事かと思いライを見ると、振り返りざま腕を掴まれ、茂みへと引き寄せられた。
一瞬心臓がドクンと脈打つのを感じながら、急いで冷静さを取り戻す。
こうすうときのライは、決まって賞金稼ぎを見つけている。だから、目の前にいるであろう賞金稼ぎに集中する。
「……どこにいるんだ?」
「静かにしろ」
低音で諌められ、大人しく黙る。
思ったより相手は手強そうだ。息を殺し居場所を知られないよう用心している。
息を殺した相手はなかなか隙を見せず、思っていたより用心深い。
―――けれど。
ガサッ…
ほんの、微かな音だった。けれど、それだけで十分だった。
―――どんなに優れた人物でも、必ず隙は生まれるものだ。
それを待っていたとばかりにライが勢いを付けて駆け出していく。その速さに、思わず息を呑んだ。