■書庫T
□零れ落ちる思い
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友達になろうとして、何度裏切られたか分からない。
「父ちゃんと母ちゃんが、お前とは付き合うなって言ったから」
みんなそう言って俺の前から遠ざかっていった。
それ以上の理由は言わずに。
両親のいないオレには到底理解することは出来なかった。
両親の言う事を聞くだけなら、それならいらないとさえ思った。
オレがどんなに良く接しても無視されるだけ。
そうして、オレの周りには誰も寄り付かなくなった。
何で?
何でみんなオレから離れて行っちゃうの?
みんな同じ。
他人から気に入られようとして、嫌われ者は排除して。
オレはいなくても変わらない?
オレはこの世に必要とされてない?
『じゃあオレは――――…何のために生きてるの?』
誰か助けて。
心がボロボロなんだ。
もう、それ以外何も望まないから。
それさえも―――…望んではいけない?
オレは独りだ。
オレの心はとうに壊れているのかもしれない。
時間も、止まったままで。
―――…もう、動き出すことはないだろう。
『オレは、誰にも気付かれずに死んでいくのかな…。』
それが当たり前だと自分に言い聞かせ。
全てを胸にしまい込んだ。
…それを“悲しみ”と呼ぶという事も知らずに。
地面に、一滴の雫が零れ落ちた。
Fin.
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