■書庫T

□お前だけは…
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外はからっと晴れ渡り、朝日が眩しいほどの晴天。その空の下で、俺はナルトと共に何時も通り朝食をとっていた。


ナルトが何も言わないので家はしんとしている。何時もならナルトが喋っているが、今日は何故だか一言も喋ってこない。

それが何故なのか聞いてもナルトは答えないのだろう。だから俺はいつでも、ナルトからの言葉を待っている。自然にナルトが打ち明けてくれるまで……

当然、そんな事は顔には出さずにいるのだが。


しばらく経った後、少し悩んでいる様子のナルトが口を開いた。

「オレさ、イタチ兄ちゃんに聞きたい事があんだけど…」

今まで喋らなかったのはその所為か…

「…何だ?」

言い難いことなんだろうと覚り、核心を問う。

「あのさ…」

まだ少しの躊躇いが感じられる。それ程聞き辛いことなんだろうか…

「イタチ兄ちゃんは…何でオレと一緒にいてくれるんだってばよ?」
「………」

ああ…そういう事か。だから聞き辛そうにしていたのか…

…また、里の大人たちから何か言われたのだろうか…?

里の態度には、本当に呆れさせられる。自分たちが何をしているのか理解しているつもりなのか?ナルトだからそれに耐えられるようなもので、普通の子供ならとっくに潰されているだろう。

怒りや悲しみを湛える泣き顔さえ、他人にあまり見せないナルト。きっとナルトなりのプライドがそれを許さないのだろう。事実、ナルトはそんなに弱くない。

「オレ…イタチ兄ちゃんと居ると…怖いんだ」
「………」
「また一人になっちゃうんじゃないかって…怖いんだってばよ…っ…」

涙声で震えながらナルトは言った。その小さな身にどれ程の痛みを抱えているのか…

痛々しい程にまで弱くなった心。その痛みを、今までずっと一人で抱え込んできた。

ナルトは暴力を受けた時さえも、その弱さを見せずに耐えてきたのだろう。それを今、俺に隠さず見せてくれていることに高揚するのは不謹慎であろうか。

「ナルト君、俺は口約束など嫌いだが…これだけは約束する」
「…?」

涙を溜めた瞳と向かい合い、ナルトが欲している言葉を捧ぐ。

「俺は、例えナルト君から嫌われようとも…ナルト君の傍を離れたりはしない」
「!!」
「ナルト君と出会えて、俺は本当に…自分が幸せ者だと思っている」

こんな言葉でナルトが喜ぶのなら。不安を拭えぬなら、俺が傍にいる。

「……変な事言って御免ってば……でも、ありがと」

更なる涙を湛え、同時に笑みを浮かべるナルト。この世にこれ程綺麗なものがあるのだろうか…この笑みを俺は守りたい。

自分のプライドを全て捨ててでも―――…


包み込むようにナルトを抱きしめる。一瞬ビクっと震えた体を支えるようにしながら。するとナルトは少し躊躇った後、俺の胸に顔を埋めた。

こんな些細なことにさえ安堵する。


だからこそ。絶対にお前だけは失えない。


―――そう、例えお前が俺を嫌おうとも、俺は…





Fin.

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