■書庫U

□ケンカの後は
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 明日は記念日。いつもお世話になっているから少しでもお礼しようって、思ったんだ―――。





キーンコーンカーンコーン
 聞き慣れた授業終了のチャイムが学校に鳴り響き、待ちに待った休み時間!
 今日はみんなに聞きたいことがあるんだ!!

「ねーねー」
 明るい声がしたので顔を上げると、目前の椅子(いつの間にかこちらに移動していたらしい)から水谷が乗り出して目を輝かせながらこちらを見ている。
「おーどした?」
「あのねー、まずは花井に相談したいことがあってねー」
「おう」
 “まずは”ってことはみんなに聞きまわるってことなんだろうな、と意味もなく独りごち、続きを促す。
「好きな人との記念日にね、何かしてあげたいんだけどっ!!!」
 いつも緊張感のないゆるーい顔をする水谷だが、今日は流石に真剣であるようで…。
 しかも言い切ったあとでだんだんと頬が赤くなっていくのを見ていたら、こちらまで恥ずかしくなってきて。
「お、おう///」
 その時、バンっと教室の扉が勢いよく開いた音が聞こえた。
「うぉっ」
 水谷の驚く声と同時に、俺の肩に衝撃が走る。
「へっへー花井めっけ〜☆」
「なっっ///」
 と暢気に肩に抱きつく田島がドアップだったせいでさらに頬の温度が増して。
「えーなになにー花井顔真っ赤ー!かわいーー!!!」
 さらに頬をつんつんとやる田島のせいで、水谷が席を立った。
「…え、えへ//お邪魔みたいだから、ね…//」
「あ、ちょっ…!」
「むふー^^じゃーねー」
「『むふー』じゃねーだろ!!」
 拳骨を食らった田島の「いだい!!!」という声が、廊下にも響いた。



「はぁー」
 花井は田島がいるから無理かぁー(いや、よく考えれば分かることだけど…///)
 うーん…次は誰に聞こうかなぁー…
 と、偶然にも三橋と泉に出会った。

「あれー水谷じゃん」
「お、あ、みず たに、くん!だ!!」
 移動教室らしく教科書を持っている。
「あ、あのさ、聞きたいことあんだけど!!」
「あー…もう授業始まるから部活始まる前とかでいいんじゃね?」
「あ、あう、」
「あー言われてみればー、そだね」
 そっかー部活前でいっか〜…っ^^
「じゃ、俺教室戻るね!」
「おう、部活前ちゃんと聞いてやっから」
「お、れも 聞くよ!!」
「お〜ありがとっ!!」
 やっぱ友達って持つもんだなぁ〜…

 手を振ってお別れをしたあと、あることに気づく。




 ……ってあれ、栄口来たらおしまいじゃん。




 どーしよ…
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