■書庫U
□聖なる夜に...
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外はやはり寒かった。暗くなっていく景色に、少し不安になる。
「それにしても、夜の学校って……」
意識しなくとも、寒さのせいだけではない、もっと別の震えが起こる。考えただけでゾッとする。
(あぁ、何で来てしまったんだろ…)
本気で泣きそうになって来た頃、漸く学校の玄関に辿り着いた。その時、再び携帯が鳴った。
『クフフ…』
「骸!!」
笑い声が聞こえ、思わず叫ぶ。まるで俺を何処からか見ているようなタイミング。それなら一体何処に…
『僕達を見つけられますかね…?』
まるで俺の心を読んだかのように、骸は言った。そこで、また一方的に電話が切られた。
何故?という問いが心に浮かんだが、ここで何か考えても意味はないと思い直し、俺は再び歩き出した。
少し歩いた頃、ふと気配がした。それはあと少しで気付かなかった程小さなものだったけれど。
そこは保健室。コンコンとノックし入ると、中は薄暗かった。人の気配は感じられない。入ろうとした、まさにその時。誰かに押されたのだった。
「…ッ?!」
振り返ろうとしたら、首筋に生暖かいものが触れた。ピクリと体が跳ねる。
「ッッ!!!」
「こんなに簡単に捕まえられるとは思ってなかった…ですよ?」
ペロリ、と舐めなれた感触から、それが骸の舌だと判る。その途端、そこが熱を帯びたようになった。