■書庫U

□教えられたコトバ
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 一部始終を骸に話し、骸は頷いた。

「そういうことでしたか…」
「で…イタリア語って難しいの?」
「…そうですね…まぁ、日本人にとってなら、英語よりは理解し易いだと思いますよ」
「そ、そうなんだ…」

 そうと分かると今までの不安な気持ちは薄れていった。もし自分がボスになることになったら(いや、絶対ないけどそんなこと!!!)イタリア語くらい喋れないと情けないじゃんか…

「じゃあ、試しに僕がイタリア語で喋ってみましょうか?」
「えぇっ…そんな、いきなり…」
「要は慣れですよ。現地の人の言葉を聞いていれば嫌でも覚えます。そんなもんですよ、言語なんて」
「そ、そうかな…」
「そうです。言語は、要するに自分の思いを伝えるための媒介みたいなものですから。思いがあれば伝わりますよ、きっと」
「………」

 その時の骸の笑顔はいつもと少し違っていた。……って違う違う。骸の説明が妙に説得力があって、少し意外だった。

「じゃ、じゃあ、頼むよ」
「分かりました」

「Io sono“六道骸”.Io ora sono in Giappone.È incontrare un certo uomo.」
「…???何て言ったの?」
「私は“六道骸”です。私は今日本にいます。それは、ある男に会うためです」
「あ、そう言ってたんだ…」

 やっぱり、全然理解できないよ……
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