■書庫U
□久しい碁
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ヒカルの口から発せられた条件は、何とも子供らしい、一種の取引のようなものだった。
「これから社会のテストを始めます!筆記用具以外は全部……」
『ヒカル……これですか?その、“テスト”というヤツは?』
『そうだよ。…っつか!俺が話しかけたとき以外は話しかけんなよ?!』
『はいはい…分かってますよ……』
そう、ヒカルの出した条件とは、学校で行われるという社会のテストの助言をする、というものだった……。
〜〜〜
無事、社会のテストも終了し(私が生きていた時代なので簡単極まりなかった)、普通の小学生ならば家に帰るところ。
けれど、今日の私たちは違う。取引に則り、今から碁会所へと向かっている。
「なぁ、佐為?」
「……はい?何でしょう?」
「もっとさぁ、静かに歩けないのか?」
「へっ……?」
知らずのうち、スキップになっていた。どうやら、私は本当に嬉しいらしい。こんなにも上機嫌でいられるなんて、ヒカルに会ってから初めてかもしれない。
「ま、今日くらい許してやるか!」
「ヒ、ヒカル……?」
「何だよ。おかしいか?」
「えぇ、とっても………」
「コラ佐為!それは俺に対する……」
〜〜〜