■書庫U
□紡想曲
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それに気付くと妙に気恥ずかしくなり、思わず顔を背ける。そして、色んな感情が入り交じった思いのまま一護は一言、
「ごめん」
とだけ告げ、白哉の脇を通り抜け走り去った。
(―――今のは、どういう意味だったのだろうか)
一護の走り去って行く姿を目で追いながら、白夜はこの疑問を抱かずにはいられなかった。
(ぶつかったことへの懺悔……否、もっと別のもの、……そして一護が心を悼めること…)
白夜はそこまで考えたものの、はっきりとした答えは出ず、何故だか一護のあの顔が目に浮かんだ。
あの顔―――酷く傷付いているような、明らかにいつもの元気な一護ではなかった。(尤も確実な一護の心を知っているわけではないので「元気でない」と断言するのはおかしいかもしれない)
―――どちらにせよ、酷く興味を惹かれた。
朽木邸の一角にある木陰に腰掛けてから、一言洩らす。
「はぁ―やっちった…」
今更溜め息など無意味なのだ。けれど、それでもしてしまうのは何故なのだろう。
「……ハハ、何か俺…馬鹿みてェ」
一護は、自分が自分でない様な気がした。