■書庫U
□紡想曲
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こんな気分になるのは初めてだった。(敢えて言葉にするなら、それは「気持ち悪い」という言葉がしっくりくるような気がした)ハッキリとしない自分の心に苛立ちを覚えた。
時はゆるりと過ぎていき、場所はルキアの容態を見にやって来た白夜の佇む一室へと変わる。
白夜が部屋に着くと、ルキアが静かに目を開いた。起きていると思っていなかった白哉が少しだけ驚く。
「…兄、様?」
「起きたのか、私だ」
「………っ!!い、一護たちは?!」
目が覚めるなり、ルキアの思考はすぐさま死神代行達へと移る。
「心配はいらん。みな、命に別状はない」
「そう、ですか…」
ほっとしたのが見て取れた。おそらく、それが心配の種だったのだろう。
そしてほっとしたかと思った折、その顔は真面目な顔へと変わり、白哉に話し掛けた。
「兄様、頼みがあります。訊いて下さいますか?」
「…何だ」
「………一護に、有難うと伝えて欲しいのです」
「………」
体力がまだ完全には回復していないのか、その声はか細い。そんな義妹を見て、まだ完治していないルキアの頼みを断れるほど白哉は冷徹な男でなかった。
「…了解した。必ず伝えると約束する」
「有難う御座います。それと…私が兄様に頼んだのには理由があるので御座います」