■書庫U

□紡想曲
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「…理由?」

 そう訊くと、ルキアは笑いながらこう答えた。

「きっと一護は、兄様に悪いことをしたと思っています」
「…私に?どうしてそのような…」
「一護は、そういう男なんです」
「………」

 その理屈がどこからくるのか知れない。けれど、分かるような気もした。

「だから、兄様から直接言って欲しいのです。兄様の、心のうちを」
「………」

 白哉は何と答えて良いのか分からず、ただルキアを見ていた。しばしの沈黙の後、ルキアはもう一度その口を開いた。

「兄様…もう一つ、尋ねても宜しいでしょうか」
「………何だ」
「何故、双極の丘で私を助けて下さったのですか?今までの兄様ならそんなことは…」
「………そうだな。私も驚いている。私は兄に…」
「兄…?」

 思わず口を滑らす所だった自分を戒める。そして、一刻も早く一護に会いに行こうと思った。

「……いや、何でもない。………すまぬが私にはどうやら用事ができた」
「…はっ!行ってなさいませ、兄様」

 そう言って顔を下げるルキア。

「行ってくる」

 以前ルキアと交わした言葉は会話と呼べるものではなかった。けれど、今日この会話は、(初めてといっても過言ではない)少なくとも会話と呼べるものになっていた。

(これも全て黒崎一護の…)

 そして白哉は一室を出、廊下へと踏み出した…
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