■書庫U

□返り討ち
2ページ/10ページ

「この…ッ!!」

 ライが近付くのを察したのか、賞金首は舌打ちをしながら草影から飛び出して来た。
 ―――相手は一人。…何て命知らずなのだろうと思う。

「………フン」

 それを嘲笑うかのように、ライは鼻を鳴らした。それに気付いてか、殺気立つ賞金首。

「あぁッ?!何がおかしいんだこのや…」

 ―――そこへ、ライの剣が風を薙いだ。分かっている俺でさえ目で追えないくらいだった。

「……なッ!!」

 キィンと金属音。驚く相手も剣を取り出し、体勢を整える。



 ―――その時、急に耳鳴りがした。低い低音の音…これは―――?
 そして不意に、賞金首がにたりと笑った。

「誰がお前らみたいな奴等にやられるか…ってんだ!!」

 動きに活力が戻ったように、賞金首が軽やかに跳ねる。その体は上空へと飛んだ。
 ライもそれに向かうが、さっきとは比べ物にならないくらい、賞金首は攻撃力を増していた。

「ハハッ!弱ぇ!全然大したことねェなァ、オイ!!」

 そう叫んで再び上空へと舞い上がる賞金首。



―――しかし。

「……フ」

 ライは、それに全く興味を持たないらしく、不敵に笑う。それに驚いた賞金首は下を向き、青褪める。

 ―――下にはライの剣。目を剥く賞金首。


 これで終わりだと思った。

だが―――
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ