■書庫U
□返り討ち
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「……ッ?!」
後ろからガサリと草の音。…そして振り上げる音。腕に鈍い痛みを感じた。
「ぅ…あッ!」
―――しまった。もう一人いたとは…自分の腑甲斐なさに唇を噛む。
「コノエ!!」
その時、ライの声が耳に響いてきた。その声に、胸が暖まるような安堵を感じる。
腕は未だズキズキと体を駆け巡っていたが、そんなものはもうどうでも良くなっていた。体の痛みと引き換えに、頭はしんと静まり返っているようだ。
「この…ッ!!」
賞金首の仲間の一人が襲いかかってくる。
―――《二度も相手の同じ攻撃を受けるのは自殺行為だと思え》
ライが、修行中に教えてくれたこと。その意味を、強く噛み締める。
そして―――攻撃を避けながら、それに乗じて攻撃を仕掛ける。
相手が剣を振り翳す。
―――避けるだけでは駄目だ。ふと、そう思った。そして…
剣を右手の甲で受け止め、空いた左手で握り拳を作り賞金首の腹目掛けて繰り出す。
俺の拳はそのまま賞金首の腹に食い込んだ。
「ぐッ…は……ァ!!」
相手が倒れるのを見ている暇などなかった。急いで、ライのいる場所へと目を向ッる。
「……ッ!!」
賞金首の剣でライが少し…押されている……?