■書庫U
□返り討ち
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賞金首らの手足を縛り付け、籃閃の引き換え所へと向かう。
生きて捕まえてくればそれなりの報酬が得られる。これでバルドの宿にも心配なく泊まれるだろう。
「ここだ」
ライが声音で指し示したのは、大きな建物だった。コノエは思わず息を呑むが、スタスタと先にライが行ってしまうので慌ててその後を追う。
その時、腕の痛みが今になって体を駆け巡った。
「……ッ」
思わず声を上げる。
「…どうした」
「…あ、ううん。何でもない……」
「………」
何とも歯切れの悪い答えにライは一瞬怪訝そうな顔をしたが、俺は悟られまいとして先へ進む。
その時、不意に肩を掴まれ、引き寄せられた。
「…ッ?!」
「傷が痛むのか」
「…!」
一瞬何を言われているのか分からなかった。けれどすぐに、心配してくれているということに気付く。
「だ、大丈夫…だから、離せよ」
「……」
ぱしっと腕を払い、再び歩き出す。ライの視線を背中に感じながら進んだ。
恥ずかしい…顔が熱い。ライはどうしてあんなに平気な顔で向き合えるのだろう。俺なんかいつもライと顔を合わせる度緊張してしまうのに。
………ずるい。
何て、身勝手な不満を抱く。