■書庫U

□日常生活
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 まるでいつものように当たり前の生活がやってくるのは朝日が昇るからで、それを誰かが変えることなんて出来ない。やがて、それがゆっくり西へと傾き、沈んでいく。
 その西日は世界を哀れむように見取りながら、闇を呼び戻す。
 そうしてまた、太陽は涙を溶かしながら昇り来る。



「…………」
 ようやく教室前の廊下へと辿り着いた。けれど、これで安心してはいけない。目の前の教室の扉が妙に開いているのだった。
 上を見上げると、定番の黒板消しが…
(こんな簡単なトラップに引っ掛かるか馬鹿が!!!)
「ククク…ククククク…………」
「け、圭ちゃん…?!」
「圭一くん…どうしたのかな、どうしたのかな?!」
「ククク…何だぁ今日は歯応えねぇなぁ!!!」

 そうしてガラっと扉を開ける。扉の上部に引っ掛かっていた黒板消しは誰の頭に乗っかるでもなく、虚しく空を掴み落ちた。
「……なぁ?沙都子よぉ?」

 俺の目の前に立っていたのは、このトラップを仕掛けた本人、北条沙都子。
「あら残念、全く…喰えない男ですわね」
「あん?その余裕の笑み…ハンッ、どうせ見掛け倒しだろう?!圭一様は何でもお見通し……って、なぁっ?!」
 軽々と見抜いた扉を飛び越えると、着地後の床には何と―――バナナの皮が。
(な…何て古いトラップ………)

 つるんと滑り、俺は見事に床に突っ伏したのであった………
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