■書庫U

□第零章 こけら落し
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「じゃあ、部屋から持ってくるから待っててね!」
「おぅ、待たせて貰うぜ」
 そう言って魅ぃちゃんが、部屋から出る。私はそれを横目で見ながら、静かに追った。

「ふふ。圭ちゃん…喜んでくれるかな?」
 その姿は、さながら魔女。魅ぃちゃんの手には、鋏。きっと、よくないモノ。

「魅ぃちゃん…」
「えっ?!レ、レナ?!どうして此処に…!!」
「ずっと…着いてきたの。圭一くんと一緒に…」
「え…、え…?!」
 本当は、私が圭一くんと遊ぶはずだったのに―――



 それを奪ったのは、魅ぃちゃんだったんだね―――……
 それなのに…圭一くんをどうするつもり…?!

「あたしが、先だったのに―……酷いなぁ、ねぇ?魅ぃちゃん…?」
「レ、レナ…?どうしちゃったの…」
「それなのに……!!圭一くんを危険に晒すなんて………!!!」
「えっ?!な、何言って…!!!」

「あたしがっ!!あたしが好きなのに!!!圭一くんをっっ!!!」
「えっ…?!」
 大きく見開かれる魅ぃちゃんの目。そこには驚きが浮かんでいた。

 言うと同時に、手に持っていた鉈を振り下ろす。



 声もなく、倒れる“園崎魅音”。その姿は、あまりにも滑稽で、哂えた。
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