■書庫T

□素晴らしい料理
2ページ/2ページ

「あ。そういえば、イタチ兄ちゃんが掃除とかしてくれたんだってば?」
「ああ…迷惑だったか?」
「ううん!全然!オレ、掃除の仕方分かんないし…」
「…そうか。今度、時間があるときにでも一緒にやろうか」
「うん!」

イタチ兄ちゃんに掃除なんて、何だか似合わないけど教えてくれるのは有難い。教えてもらえば、少しはこの部屋も綺麗になるだろうし。
何より、イタチ兄ちゃんと会えるんだから文句は無い。


気付くと、とても良い匂いがしていた。

「ナルト君、朝食出来たから運んでくれる?」
「はーい!」

イタチ兄ちゃんの料理。どんな料理を作るのか、かなり興味がある。

イタチ兄ちゃんがいる所まで走って料理を覗き込む。
すると…

「わぁ…」
「…?」

目の前に飛び込んできたのはご飯に味噌汁、梅干、焼いた魚などのとても家庭的な料理。それらを何処で調達してきたのかはさておき。全てが美味しそうに見える。

こんな朝食、いや食事は初めてかもしれない。里の人たちには食材も貰えず、満足のいく食事はしたことがなかったから。

「すげェーってば…イタチ兄ちゃん、家では料理当番?」

「…いや。作るのは初めてだが…」
「えぇっ!!」

まさか……これが初めて作った料理?

「味の保障は出来ないが…」

すぐさま料理の皿をテーブルに運び、食卓を飾る。イタチ兄ちゃんが少し不安そうに見つめる中、オレは料理を口に運ぶ。



パク。


もぐもぐもぐ…



「うっ…」

「…?不味いなら無理す…」


不安が脳裏をよぎる。やはり味が不味かったのかと思った、その時だった。



「うっめェーーーーーーーーー!!!!!!」

「…」
「イタチ兄ちゃん、見た目も味も最高だってばよ!!」
「そ、そうか…それは良かった」

ほっと胸を撫で下ろす。料理が不味いとナルトに言われたら…と恐々見ていた。しかし、それは意外と美味だったらしく。ナルトが気に入ってくれたのならそれで良いと思う。

「また、作ってくれってばよ!!」
「分かったよ」


朝食は本当に美味しかった。あれが初めて作った料理だなんて、一体誰が信じるだろう?

感謝しっぱなしで悪い気もするけど、今はこの幸せに身を寄せていたい。何も考えずに、イタチ兄ちゃんと一緒に。




Fin.

[書庫TOPに戻る]
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ