■書庫T
□素晴らしい料理
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「あ。そういえば、イタチ兄ちゃんが掃除とかしてくれたんだってば?」
「ああ…迷惑だったか?」
「ううん!全然!オレ、掃除の仕方分かんないし…」
「…そうか。今度、時間があるときにでも一緒にやろうか」
「うん!」
イタチ兄ちゃんに掃除なんて、何だか似合わないけど教えてくれるのは有難い。教えてもらえば、少しはこの部屋も綺麗になるだろうし。
何より、イタチ兄ちゃんと会えるんだから文句は無い。
気付くと、とても良い匂いがしていた。
「ナルト君、朝食出来たから運んでくれる?」
「はーい!」
イタチ兄ちゃんの料理。どんな料理を作るのか、かなり興味がある。
イタチ兄ちゃんがいる所まで走って料理を覗き込む。
すると…
「わぁ…」
「…?」
目の前に飛び込んできたのはご飯に味噌汁、梅干、焼いた魚などのとても家庭的な料理。それらを何処で調達してきたのかはさておき。全てが美味しそうに見える。
こんな朝食、いや食事は初めてかもしれない。里の人たちには食材も貰えず、満足のいく食事はしたことがなかったから。
「すげェーってば…イタチ兄ちゃん、家では料理当番?」
「…いや。作るのは初めてだが…」
「えぇっ!!」
まさか……これが初めて作った料理?
「味の保障は出来ないが…」
すぐさま料理の皿をテーブルに運び、食卓を飾る。イタチ兄ちゃんが少し不安そうに見つめる中、オレは料理を口に運ぶ。
パク。
もぐもぐもぐ…
「うっ…」
「…?不味いなら無理す…」
不安が脳裏をよぎる。やはり味が不味かったのかと思った、その時だった。
「うっめェーーーーーーーーー!!!!!!」
「…」
「イタチ兄ちゃん、見た目も味も最高だってばよ!!」
「そ、そうか…それは良かった」
ほっと胸を撫で下ろす。料理が不味いとナルトに言われたら…と恐々見ていた。しかし、それは意外と美味だったらしく。ナルトが気に入ってくれたのならそれで良いと思う。
「また、作ってくれってばよ!!」
「分かったよ」
朝食は本当に美味しかった。あれが初めて作った料理だなんて、一体誰が信じるだろう?
感謝しっぱなしで悪い気もするけど、今はこの幸せに身を寄せていたい。何も考えずに、イタチ兄ちゃんと一緒に。
Fin.
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