■書庫T
□大好き
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そういえば、何でイタチ兄ちゃんってばオレを誘ったんだろ?今まで気付かなかったけど、イタチ兄ちゃんが誘ってくれるなんて珍しい。
「イタチ兄ちゃん?今日は何で歓楽街に来たんだってばよ?」
「ん?ああ…ナルト君との思い出を増やそうと思ってな…」
「…そっか…ありがとってば!!」
「本当はもう一つあるんだが…まぁこれは後々分かるよ」
「…??」
凄い気になるような事を言われたけど…『後の楽しみ』ってヤツ?かなり気になるけど…それなら、我慢するってばよ!!!
「そうだナルト君…ナルト君が良ければだが、あそこに寄らないか?」
“あそこ”とイタチ兄ちゃんが指差した場所。そことは、服屋。何のために?とは思ったけれど、イタチ兄ちゃんが行きたいのなら文句はない。
店内は明るくて活気があって、きっとオレだけだったら来ないような場所。お昼を過ぎたから少しは空いたかと思ったら、それは見当違いだったらしい。それに、やっぱりイタチ兄ちゃんの周りには大勢の女の人だかり…
イタチ兄ちゃんってやっぱモテるんだな…
それが、こんなに不安にさせる。いつかイタチ兄ちゃんを取られちゃうんじゃないかって、怖くなる…
その時、ポンと頭を撫でられて見上げると、イタチ兄ちゃんがオレを見下ろしていた。その顔はあの時と同じ、オレを心配している表情だった。本当にこの人はオレを考えてくれてるんだなぁ………何だか、不思議な感覚。
「ナルト君、選んであげるよ」
知らないうちに手を握られてて、遠慮する機会さえも与えられずについていく。けど、それよりも、女の人たちからの目が少しだけ怖かった。女の人たちがオレを見て睨む。
でも、それさえも喜びに変わる。だって、オレがイタチ兄ちゃんと手を繋いでるってことが凄く嬉しい。一目を気にしないイタチ兄ちゃんに心の中でお礼を言う。
面と向かっては、まだ言えそうにないから。
それから服を選んで試着を何度か繰り返して漸く決まった服。凄い着易くて、運動着としても使えそうな、センスの良い服だった。
やっぱこういうセンスも凄いんだなーイタチ兄ちゃんって…
「何だかイタチ兄ちゃんの欠点なんて、見つからない気がするってばよ…」
「…いや、俺にもちゃんと弱点はある。例えば……ナルト君だな」
「えぇ?!…ど、どういう意味だってばよ?」
「よく言うじゃないか。恋は盲目と」
「…え?恋?」
「………ああ、きっとナルト君にはまだ理解できないと思うが……」
「……それって、イタチ兄ちゃんが俺を、好きって……そゆこと?」
「………」
「………」
イタチ兄ちゃんに引き寄せられて、抱き合う形になる。そして何をするかと思えば、耳元で囁かれた。
「ナルトが好きだ」
「…っ!!!///」
何てコトを言うんだと耳を疑う。恥ずかしすぎて、どうにかなりそうだった。
けど………勿論、嬉しいに決まってる。だって、俺も………
オレも負けじとイタチ兄ちゃんに抱きつく。
「…オ、オレも…だってばよ………///」
自分でも分かるくらい真っ赤になって、顔を上げられずにいた。イタチ兄ちゃんはオレの顔を自分の顔に近づけながら、言った。
「ナルト君………キス、して良いか?」