■書庫T

□唯一の未練
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気づくと森に来ていた。イタチと初めて会った場所。オレにとっては思い出の場所。

イタチは大丈夫かな?いや、心配するまでもないのだろうけれど…。

また一人。でも前のような、あの寂しさはない。でも、何故だか安心する事が出来ない。


何で…?




俺は今、両親を前にして立っている。目下にいる両親は―――…俺を前に倒れている。

母はもう既に息を引き取っている。手加減もしなかった。

父上は辛うじて息があるのか、必死に俺を見上げようとしている。情など毛頭無い。

全ては、父上の真意を確かめるが為。

「父上、俺に言うことはありませんか」
「な…何を言っている!!お前、自分が何をしたのか分かっているのか!!!」

これでは埒が明かない。

「…単刀直入に言います。ナルトの暗殺依頼をしたのは貴方ですか」
「…!ナルト…だと?お前、何故九尾を知って―――」

「…そうですか。やはり、父上がナルトを…」

失望だけが残る。それから血飛沫があがり、呻き声が響き渡った。


返り血さえ受けること無く、俺は今ナルトを探している。何処にいるか見当もつかないが、ただただナルトに会いたい…

その時、ふとある場所が思いついた。思い出深い場所でもある。

森―――…

森に行くのは然程苦ではない。忍としての移動スピードには多少自信が有るからだ。

しばらくして、森が見えてきた。




懐かしい気配がした。これは―――…

「イタチ…?」
「ナルト…」

やっぱり、イタチだった。少し離れていただけなのに、酷く懐かしいのは何故だろう?

「イタチ―――」
「ナルト、聞いて欲しい事がある」

抱きつこうとしたオレを制し、イタチは急に深刻な顔になった。

「俺はこれから里を出る」
「?!!な、何で…!!」

急な言葉。オレにとって、何より聞きたくない言葉だった。

「ナルト、俺はナルトと居た時間を忘れない…必ず」
「…どうしてイタチが…」
「俺が里に居たら、ナルトに迷惑が掛かる」
「そ、そんなの!オレは何とも―――…!!」
「何れ、分かる時がくる」

その言葉も、聞きたくない言葉。全てがオレと離れてしまう言葉だったから―――…

「オ、オレだってイタチの事、忘れないってばよ!!」
「―――…」

涙声だけれど本当の気持ち。それなのに何で、離れてしまう?

「ナルトには忘れてもらわなければならない…俺に関することは全て―――」
「な、何で…!!」


これ以上話していれば、決意が揺らぐ。そんな事は決してあってはならない。そう思い、催眠眼を使う。


「イタチ…ずっと、一緒だって…言ってた…の…に」

その一言を残し、ナルトは深い眠りへと堕ちた。



  すまない―――…

その言葉しか出てこない。しかし、全てはナルトの為であると、分かって欲しい。

起きたら、俺といた記憶などないだろうが―――…



その時、後ろで足音がした。
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