LONG+B

□空色 〜赤〜
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背中合わせに視線は前を見据えそのまま会話、は最近日常になりつつある。

「暑い」

「夏だからな、仕方ねぇ」

「むさぐるしい」

「男に囲まれてりゃあな」

「…なんでそんな普通なんだよ、グリムジョー」

「慣れてっから」

「俺だって毎度毎度こんなに絡まれた事ねぇよ」

「オマエとは違うんだよ、一護」

「男にモテるってのもどうよ?」

「オマエがそれを言うか。空座抱きたい男子一位」

「それ言うな!禁句だ禁句っ!」

一護の眉間の皺が深くなった。

自身にとって一番消し去りたい格付け結果。

やっぱり納得いかない。

なんで自分が男に抱かれなければならないのだ!

実際には背にする男にもう操を奪われていたりはするがそれは合意の上であり(なんてったって自分から求めてしまった)、他にも抱こうとしている奴等の気が知れない。

この話題を振られる度に一護は不機嫌だ。

自分としては普通の健全な男子高校生なつもりなのだから。

いや、ちょっとクールを装ってみてはいる。

まぁ兎に角、この怒りを何処にぶつけようか。

勿論、周りを囲むこの男共にしかあるまい。

「黒崎、何オマエ空座の抱きたい男一位なの?」

「あ〜成程。俺、コイツなら抱いていいかも」

「良く見れば可愛い顔してるしなぁ」

グリムジョーのセリフをしかと聞いていた不良達はこんな事を言い始めた。

ぴきぴきと一護の青筋が増え、怒りのボルテージはMAXを超えてメータの針が振り切れる。

「どっりゃあああ!!」

堪え切れず自ら不良達に飛び掛かって行った。

急所の顎へと一発決めるや否や、次にはその隣の男の腹を蹴る。

そのまた隣の男の腹にも反動を利用して回し蹴りを決めた。

「てめぇ!」

流れる動作で繰り出されていく攻撃に不良達の視線が集まる。

最初はグリムジョーだけを狙いにしていた者も、これだけの強さを見せつけられれば黙ってはいられない。

「あんまり悪ふざけが過ぎると犯すぜ!?」

「ああ?誰が誰を犯すって!?もう一回言ってみろコラァッ!!」

熱くなる一護を、珍しく彼にしては冷静に見つめていたグリムジョーは、自分を素通りして一護に掛かって行こうとした二人の男の首根っこを猫にするように掴んで引き寄せた。

「オマエ等は俺の相手しろ。一護に手ぇ出すとどうなるかたっぷり思い知らせてやるからよ」

いや、グリムジョーが一護を犯すと言われて冷静でいられる訳がない。

中では冷たい熱がふつふつと一護以上に燃え上っていた。

掴まれた二人の男はにやりと笑うグリムジョーへのあまりの恐怖に口端を引きつらせる。

ひっ…と怯えに肩を震わせた時には、互いの頭同士をぶつけられていた。

グリムジョーはそのまま泡を吹いて力をなくした男達を捨てると、一護に群がる不良達に目標を移した。


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