LONG+B
□あいうた
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もし、余命を告げられたら、あなたはどうしますか?
俺にはこうする事が一番だと思ったんだ……。
瞹 ―あなたを想うが為に僕がする事―
「別れよう、恋次」
いつものように尸魂界に行き、いつものように恋人が仕事を終えるのを待って、いつものように口付けを交わした。
そしていつものように恋次の家に行く前に、一護は別れを告げた。
震えそうになる身体を押さえ込み、泣きそうになる目を堪え、冷静を保つ。それでも声は少し震えてしまった。
「何、言ってんだよ、一護……?」
恋次は言われた言葉が解らないというように一護を見据えてくる。
すぐに受け入れてくれるとは思っていなかったけれど、その視線が痛い。
目を逸らして俯きそうになるのを堪えて、平静を装い一護は恋次を見返した。
(お願いだから、そんな顔しないで…恋次……)
そうさせているのは自分であるのに、今の恋次の表情を真正面から見るのが辛かった。
動揺を隠さず唇を噛んで身体を震わす、恋次。
自分は今、愛しい人を傷付けている。それを実感する。
「なぁ、一護っ!」
伸ばされた手を叩き落した。
恋次の手を拒んだのは、きっと初めてだ。
「いち、ご…?」
「俺に、触るな(…触らないでくれ)」
今までに一度も恋次に向けた事のない冷たい目で、幾分低い声で言った。
「もう、厭きたんだよ、アンタといるの。最初は副隊長とか言う結構高い身分だしいいかなって思ったけど、俺の十倍は生きてるくせにガキっぽいしウゼェし、正直疲れる」
「…い、ち……」
「まだ解んねえの?アンタ、俺に遊ばれてた、って事に」
恋次がこれまでにない程に目を開いて、傷付いた顔をする。
(ああ…俺って、恋次にこんな酷ぇ事言えたんだ)
護は、何処か他人事のように自分を見ていた。
淡々と自分の口が動いていた。