LONG+B
□空色 〜黒〜
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愛しい者の死に、一護は昼夜涙を溢れさせた。
冷たい身体に縋り付き、声を出して名前を何度も呼び叫ぶ。
悲痛に響く。
どうにも出来ない。
その細い身体を抱き締めたいのに、触れるなと誰かが言う。
指先が触れるのさえ拒むように。
近付けなかった。
一護がグリムジョーから離れるまで。
近付けなかった。
白い病室の扉に背を預け、瞳は閉じて耳は泣き声を拾う。
初めて、自分の無力さを思い知った瞬間だった。
空は、漆黒の色をしていた。
俺の髪のように、何もかもを無に帰すように。
グリムジョーの髪色のような青空も。
一護の髪色のような茜空も。
全てを包み隠してしまうように。
雨が降る。
空の色は黒。
風力は、ゼロ。
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