LONG+B

□空色 〜黒〜
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2.それは光に似た


グリムジョーがいなくなって、もうすぐ一年が経とうとしていた。

七月の初め。丁度一護がグリムジョーと出逢った頃。

空は夏に相応しく晴れ、その日の事を思い出すのか一護は空を見上げてばかりだった。

ウルキオラは、その様子を窺いながら隣を歩いていた。

何をするでもなく、ただ大学の講義が終わると一護を学校へ迎えに行って帰路を歩く。

たまには何処かより道をして帰る事もあるが、大体はまっすぐと家に向かっていた。

今日も何もなくこのまま帰るのだろう、とウルキオラが思ったその時、一護が急に声を発した。

「行きたいところがあるんだけど、良いかウルキオラ?」








普段は通らない住宅街。人気は少なく静か。

その一角で、ふと一護は歩みを止めた。

「…此処が、アイツと初めて会った場所なんだ。一年前の今日、もっと時間は遅かったけど…アイツは此処で喧嘩をしてて」

ウルキオラは、一護とグリムジョーがどのように知り合ったのかは知らなかった。

何も聞いていなかったのだ。

もともと仲が良いとは言えないグリムジョーが、ウルキオラに何でも話す訳でもないし、一護に直接訊くのも戸惑われていた。

このまま知らなくてもいいと思っていた。

グリムジョーと一護の物語だ。

知るのは一護だけであり、一護だけが知っていれば、グリムジョーだって満足のいく事だろう、と。

しかし、一護はウルキオラに語る訳でもなく、ただ独り言のようにその時の事を口にするのだ。

「お互いに本気で殴り合って。本当に最悪な出会いだった」

「………」

「でも、アイツ最後に笑ったんだ。楽しそうに嬉しそうに。それが頭から離れなくて、浅葱色が忘れられなかった。その時から俺は、多分アイツに惹かれていたんだろうな」

現在も一護の心はグリムジョーが占めている。

想いも変わらずにずっとグリムジョーだけを見ていた。

ウルキオラには、それが悔しかった。

確かに出会いはグリムジョーの方が先だった。

それでもグリムジョーと一護が有した時間はたったの二ヶ月であり、後に出会ったウルキオラと一護の時間は十一ヶ月だ。

五倍以上の時を過ごしているのに、ウルキオラの存在は一護の頭の片隅にしかない。

それ程までに、あの時の二ヶ月と言う時間は一護にとって大きかったのだ。
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