小説

□視界を舞う黒
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※独+英(?)


空が閉じてしまった、
息も絶え絶えで酸素が脳にまで届いていない状態でそう思った。

先ほどまで憎たらしいくらいの青空が視界いっぱいに広がっていたというのに、
どうしてだろうか
今は何も見えないほど暗闇に世界は満ちている。

「っ・・く」


肺に、内臓に溢れた血だまりが許容量を超え、口から流れ出る。
咳をする度に複雑に折れた骨が体の中を掻き回しとても不愉快だ。


「おい、ルートヴィッヒ
いつまで寝てるつもりだ?」


無様にも地面に転がっている俺に冷たすぎる声が上から降ってきた。


何か言い返そうかとも思ったけれど、既に自分の意志ではもう体を動かす事ができない。
無意味に成り下がってしまった闘争心だけが沸々と胸を焦がす。




「おい、起きろ
それとも・・もう限界が来たのか?」


情けないことに問いかけられたその言葉に、頭の中では肯定という二文字を叩き出されていた。

これ以上はもう無理だ、と本能が告げている。


革靴の硬い感触が背中にあたり、何度も何度も踏みにじられるような痛みを感じた。

満身創痍の身体には充分すぎるくらいに、それはダメージを与えて一度は収まりかけた鮮血が再び吐き出され、視界の闇色はさらに汚く濁ったように思えた。




[何も見えないけれど]




早く立ち上がって
(もう動けない)



早く敵を見据えて
(何処にいるのか解らない)




黒が、漆黒が、
舞っている





嗚呼、






なんだ

これは



目が視えないんじゃないか
(気付くことすら忘れていた)


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