novel(GS)
□ギャップ
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バン、と机を叩く音が響く。
それとほぼ同時に、響き渡る声があった。
『 ギャップ 』
「異議あり!」
その響き渡る言葉に、法廷内は一瞬だけシン、と静まり返る。
「その証言は、明らかにムジュンしている!」
指を突き出し凛とした声で異議を唱えるのは、ある青くとがった弁護士。
「何がおかしいと言うのですか、弁護人。」
「気づきませんか?
では、まずこちらを見ていただきたい」
手にした紙を指で叩く。
いつもの動作。
そんな様子を、私はいつもの検事席ではなく傍聴席から眺める。
今日は検事局の新人検事の法廷を見に来ていたのだ。
まぁ…
まさか、相手があの青い弁護士とは思いもしなかったのだが。
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