novel(GS)
□Good Night
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夜中に、ふと目が覚めた。
隣には、いつも鋭く力のあるその瞳は閉じられて。
眉間の皺も、今は刻まれていることはない。
いつまでも眺めていたい、そんな安らかな表情で、静かに寝息を立てている。
綺麗、だな。
そう、思わず手を伸ばして、髪に触れてみる。
法廷の反対側で睨み合う、ぼくたち2人。
いや、もっと遡れば、話をすることも、会うことすらもできなかったあの頃。
それなのに、こんな表情が見れるなんて。
隣で無防備な姿を晒す君がいるこの状況を、あの頃どう想像できただろう。
むしろ、今でもたまに分からなくなるときがある。
でも、君はぼくを選んでくれたんだって。
最近は嬉しく、誇りに思えるんだ。
「御剣」
小さく呼んでみた。
もちろん、返事はない。
好きだよ、15年前別れてからずっと。
返事は、君が起きたら言ってもらうことにしよう。
せめてぼくの夢を見てくれるように、優しく隣に眠る彼を抱きしめてもう一度眠りに就いた。
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