novel(GS)
□あの発言についてのあれこれ。
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あとは、頼んだぞ。
…相棒。
『 あの発言についてのあれこれ。 』
それはイトノコ刑事のある一言から始まった。
あの葉桜院での事件での出来事。
「そういえば、なんで御剣検事はあの弁護士に“相棒”なんて言ったッスか?」
「あ、それぼくもびっくりしたなぁ」
そしてちょっとドキッとした、とはまぁさすがに心の中でしか言わなかったが。
だって、あんな風に御剣が言ってくれるなんて普段の生活(しかも他に人がいるところ)では滅多にないからさ。
「ム…と、特に意味などないっ!」
「いーや、自分ならともかく…敵の弁護士にそんなこと言うなんて何かあるに違いないっス!」
(自分ならともかくって…
イトノコ刑事は本当に自称だろ……)
珍しくうろたえたような表情を見せた御剣に、イトノコ刑事はそれを知ってか知らずか更に言った。
「し、しかし私はあの時弁護士だったのだから…
な…成歩堂と一緒の立場だったと言ってもいいであろう!」
「でもいくら弁護をしたとはいえ、あの言い方はなんか検事らしくなかったッス!」
そんなイトノコ刑事と御剣のやり取りを見ながらふと思う。
(これはもうはっきりしておいた方がいいのでは…)
まだ何やら言い訳をしている御剣とイトノコ刑事のあいだに入る。
そしてイトノコ刑事の方を向いて2人のトーンとは打って変わった落ち着いた態度で口を開く。
「イトノコ刑事さん…残念ですが、実はぼくこそは御剣の相棒なんですよ。
なんたってぼくは御剣のこいび…っ!」
「やめたまえ馬鹿者っ!刑事に…そ、そのようなアレを吹き込むでない!」
しかしそれは最後まで言い終わることなく、後ろから御剣の攻撃(口と手の両方)を受けてしまった。
「え、なんっスか?こい…?」
「な、なんでもない!この馬鹿の言うことは気にしなくてよいッ!」
頭の上に?マークを飛ばしまくっているイトノコ刑事に御剣の声が飛ぶ。
否定していたのだが、そんな困ってる御剣をニヤニヤしながら見てしまうぼくは真宵ちゃんに変態と言われても仕方ないかもしれない、と最近は思いだした。
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