novel

□食い違い
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「だぁかぁらぁ!!!違うって何回言ったらわかんねん!!」


昼休みの食堂に、馬鹿デカい声が響きわたる。


否、馬鹿なのは声のデカさだけじゃねぇ。



アレの良さがわかんねぇとは、コイツはもう相当の馬鹿である。


いや、もう馬鹿通り越して阿呆だな。アホ。



まじ意味わかんねぇ。

昔みてーに殴りてぇ。



「何でお前、そんなもんつけれんの!?わっけわっからへん!!絶対マズいやんそんなん!食えへんやん!!」


ブチ



俺の額から、血管が切れる音がした。



「んだとテメェコルラァァァァア!!!あ゙ぁ゙!!?」



バンっと勢いよく机を叩いて立ち上がる。



さっきのセリフは聞き捨てならねー


俺の、俺の食をバカにしやがって…!!!




「てっめーこそ、んで"焼きそばパン"に"ケチャップ"かけれんだよ!!っざっけんな!!!この、悪食ケチャラー!!」


「はァァ!!?お前は何で"マヨネーズ"なんてもん、かけれんの!?つか、マイマヨとかキッモイねん!!!専用ケースに入れてくんな!味覚破壊マヨラーがッ!!!!」


「あぁん?てめーマヨ様の素晴らしさわかってねーだろ!マヨ様は万能なんだぜ!何にでも合うからなァ…」


「うっわ、ありえへん。たかが調味料に"様"つけとる。馬鹿っちゃう?ケチャたんだってみんな試しとらへんだけで、未知の扉開けるねん!ケチャたんなめんなゴルァ!!」


「つか、てめーも"たん"つけてんじゃねぇか!この変態ショタペド野郎!!!」



「黙れ!ロリコン似非紳士!!!」



「せめて"ブラコン"って言えぇぇぇ!!!!!」













…なんて、くだらないやり取りに俺もそろそろ飽きてきた。



だが、この中二病患者はまだまだ収まらないらしい。



つか、俺ら何てショボいことで揉めてんだ。



だっせ。



でも、マヨを馬鹿にすんのは腹立つ…


ちら、と窺った先には、すきだらけで喚くアントーニョ。




「…やから!マヨネーズはカロリー高いねん…って、んぅ!!!?」



奴の五月蝿いケチャまみれの唇を舐め上げた。



「な、な、な…!!!?」



ふ、真っ赤になってやがんの。


あわあわと慌てる彼に、挑発するように囁いた。



「そんなに美味いんなら、俺にも味わわせろよ……な?」


「!?」



「てめぇの口から、よ。」



そう言って、今度はキスを落とすとトマト味。



うぇ。


やっぱマヨネーズだろ………





「…アーサーのばぁか。」






そう、憎たらしいことを言って、今度はどちらからともなくキスをした。



脂っこいトマトの味がした。










「若気のいたりってやつかねぇ…」


遠くで食堂のおばさんとフランシスが呟いたのが聞こえた…ような気がした。















(…でも一番好きなんは、アーサーの味や。…なんて言わへんけど。)






fin.




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