novel

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「ていやっ!!!」


「なっ!!?」



いきなりの後ろからの攻撃に、俺は思わず床に手を突いた。


こんな馬鹿なことをするのは、彼しかいない。


「何するんだい!!アントーニョ!!!」



誇らしげに笑う、その国を恨めがましく睨みつけた。



「ひざかっくんなんて子供っぽいことして何が楽し「なぁ、笑てや。」



話を遮られ、怪訝な目で彼を見る。


彼の瞳は、いつもと変わらない優しい色をしていた。


「お前、俺より随分年若いクセに辛気くさい顔しとるやん。」


「誰が辛気くさい顔なんだい…」


ククッと彼は笑う。

そんな態度に少し腹が立って、むっとしながら言い返す。


「君は年のわりに幼さすぎるんだよ。25歳がひざかっくんなんてしないんだぞ!」


すると彼は、えーっと困ったような顔をする。


「初心に帰るんも大事やで?お前は何でも考えすぎ!19なんやで、もっとパァーっといこうや!」


そうやって、陽だまりの様な顔で笑うから。



心の中で渦巻いていたもやもやが、全て晴れていくようで。



一つ、ふっと自嘲気味に笑みをこぼし、顔を上げると、



「それじゃあ、仕返しなんだぞ!!!」



重かった脚で、床を力強く蹴って走る。


「えっ!!?ちょ、それはナシ!!待った!待ったってー!!!」


自然と、心から笑える。


「うわぁー!大人げないでぇぇ!!」


「何、言ってるんだい!俺はまだ19才さっ!!!」














―ねぇ、心から笑えなくなったのはいつからだい?




そうだね、


最後に君に会った日からかな。



でもね、今日からはきっと笑えるよ。



君の笑顔を、そっと思い出して―









才差




fin.



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