novel
□シアワセナミダ
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「ねぇ、ライヴィス。」
「ひいぃぃっっ!!!」
いきなりイヴァンさんに肩を掴まれ、思わず悲鳴を上げる。
「イ、イヴァンさん!!なななんですか…?」
ブルブルと震えながら問う。
だめだ…彼の前ではどうしてもドキドキが止まらない。
涙まで目の端から零れる。
これでは彼に誤解をされてしまう。
違うんです…僕は、イヴァンさんのこと…
「みんなから聞いたんだぁ。今日はライヴィスの誕生日なんだってね。」
イヴァンさんはいつものようにニコッと笑う。
「そ、そうですけど…それがどうかしましたか?」
そんなこと言われると期待をしてしまう。
イヴァンさんは僕のこと、何とも思ってないんだから。
プレゼントなんてくれるわけないんだ…
「…ふふふ。残念だけど、僕にプレゼントなんてサービスは………あるよ。」
…ほら。
やっぱりイヴァンさんは僕のこと…
ん?
なん、か…今…
嘘だ……イヴァンさんが…?
「え…イヴァンさ…」
その時、首もとに何かふわっとした感覚があった。
とても暖かい…
それはイヴァンさんがいつも巻いているマフラーだった。
小さい僕には大きすぎるそのマフラーは、大好きなイヴァンさんの、ヒマワリの匂いがした。
「イヴァンさん、これは…?」
彼は相変わらずニコニコと笑っている。
「僕っていつもライヴィスを泣かせてるでしょ?…わざとじゃないんだけど、でも、ライヴィスが泣いてるの見ると悲しいから…」
綺麗な紫色が潤んで揺れる。
「だからね、今日はライヴィスを嬉し泣きさせてあげようと思って。……ねぇ、ライヴィス。その涙は”恐い”の涙?それとも、”嬉しい”の涙?」
いつの間にか僕の両目からは、大粒の涙が零れていた。
上擦る声を引き絞って、言葉を紡ぐ。
「こ、れは…ひっく…”幸せ”の涙です……僕は、イヴァンさんのことが好きなんです…」
イヴァンさんは一瞬ぽかんとしていたけど、今までで一番の笑顔を浮かべると、
「僕もだよ。ライヴィス。」
優しく、ぎゅっと抱きしめてくれた。
温かい温かいイヴァンさんの温もり。
「誕生日、おめでとう。」
最高に幸せな、11月18日の今日。
シアワセナミダ
(これからももっと、"幸せ"の涙を流していこうね。)
end
→
あとがき。