novel

□我が輩だけを
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アイツは、いつも戦に負けては、俺を頼って来た。


「…オーストリア…これで何回目であるか?」

「51回目です…」

「52回目だっ!このお馬鹿さんが!」



そぅやって、アイツを背負って歩いた。

いつも、アイツを助けてやった。


なのにッ!なのニッ!!

アイツは我が輩を裏切った!


我が輩に戦争をけしかけ、今ではリヒを奪おうとしてくる。


だから、だから、リヒだけは我が輩を裏切らない様、愛情を注いできたと言うのにッ


「貴様さえも我が輩を裏切るのであるかッッ!?」


我が輩は、両の腕で、リヒの細い首を絞めた。

「ッか、はっっ!に、にいさっ…」

よほど、苦しいのか、目から涙が伝う。


少し、力を緩めると、言葉を紡ぐ。

「なぁ…リヒ?貴様は我が輩が居なければ、何もできないであるよなぁ?なぁ!?…いつもの様に、自分で言ってみるである。」


するとリヒは、上擦った声で言う。

「っわ、私…我が輩、はっっ、一人では何もできない…愚妹で…す…」


リヒの目から、涙が零れ落ちる。

そっと、首を絞めていた手を放すと、その指で涙を拭い、頬を優しく撫でる。


そぅだ。


貴様は我が輩だけを見て、我が輩だけに触れ、我が輩だけを愛せばいい。







end

後書きです
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