novel
□我が輩だけを
2ページ/3ページ
アイツは、いつも戦に負けては、俺を頼って来た。
「…オーストリア…これで何回目であるか?」
「51回目です…」
「52回目だっ!このお馬鹿さんが!」
そぅやって、アイツを背負って歩いた。
いつも、アイツを助けてやった。
なのにッ!なのニッ!!
アイツは我が輩を裏切った!
我が輩に戦争をけしかけ、今ではリヒを奪おうとしてくる。
だから、だから、リヒだけは我が輩を裏切らない様、愛情を注いできたと言うのにッ
「貴様さえも我が輩を裏切るのであるかッッ!?」
我が輩は、両の腕で、リヒの細い首を絞めた。
「ッか、はっっ!に、にいさっ…」
よほど、苦しいのか、目から涙が伝う。
少し、力を緩めると、言葉を紡ぐ。
「なぁ…リヒ?貴様は我が輩が居なければ、何もできないであるよなぁ?なぁ!?…いつもの様に、自分で言ってみるである。」
するとリヒは、上擦った声で言う。
「っわ、私…我が輩、はっっ、一人では何もできない…愚妹で…す…」
リヒの目から、涙が零れ落ちる。
そっと、首を絞めていた手を放すと、その指で涙を拭い、頬を優しく撫でる。
そぅだ。
貴様は我が輩だけを見て、我が輩だけに触れ、我が輩だけを愛せばいい。
我が輩だけを
end
→
後書きです