宴会。

□一秒の憂愁
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明日にも貴方がいるという保証はない
もしかしたら今日から明日に変わった瞬間
まるで花が散るように儚くあっさりと貴方はいなくなってしまうかもしれない
そこにはぬけ殻さえも残っていない
あるのは消失感でぽっかりと穴が開いてしまったかわいそうな私の身体だけだ
明日貴方はいるかもしれない
明日貴方はいないかもしれない
明日私はいるかもしれない
明日私はいないかもしれない
それがわからなくて
知らずに失うことを私は恐れている
だから世界が日をまたぐ瞬間、私は必ずそれを見届けることにしている
貴方の身体が色のない花びらになって消えていく妄想を何度もした
そのたび怖くて怖くて
必死になって手を動かし足を動かし貴方の存在を確認する
今日貴方はいる
だけど明日はいないかもしれない
「そう考えると怖くてたまらないんです」
ぎゅっと七松先輩の寝巻きを握る
失うことを恐れている私はおかしいのだろうか
明日貴方がいなくなる理由も根拠もない
だけれど私は怖くてたまらない
一瞬で
ふっと
すべてが消えてなくなることが
七松先輩が大きな手で私の頭をなでた
「私はどこにも行かないよ」
今日私は確かに温もりの中にいる。











  一秒の憂愁




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