宴会。

□夏模様
1ページ/1ページ






縁側で空を見上げていた三郎がぽつりと雲が黒い。と呟いた

「どうしたんだい三郎」
「ごらんよ雷蔵。黒い雲がこちらにやってくるんだ」

言われた通り空を見ると確かに不快な色をした大きな雲が向こうから足早に流れてきていた

「本当だ。嫌な雲だね」
「もうすぐ夕立が来るよ」

よく耳に響く彼の声にそうだねと相づちを打ちながら僕は学園長先生の盆栽の心配をしていた
強い雨に打たれてもあれは大丈夫なのかしら
しまうのを手伝いに行った方がいいかしら
空を見上げたままぼーっと考えていたら三郎が

「ねえ雷蔵、夕立が来たらさ」

となぜか少し小さい声で言った

「なんだい」
「明かりが戻るまで、君の手を握っていてもいいかい」

天候が荒れたらきっと灯りは全て消さなきゃならない
ああそうか三郎
君は暗いのが苦手だったね
不安そうにそわそわしている彼に僕は笑顔で言った



「暑いから嫌だよ」














    夏模様




--------------------
でもいざとなったら握ってやるフェイント不破

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ