宴会。

□後悔
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障子の隙間から温かい風が吹き込んできて
ああもう春なのだなあとぼんやりと考えていた

あぐらをかいた私の後ろで同室の中在家長次はせっせと私の長い髪を結っている

自分で結えないわけではないが
がさつなのがそのまま反映された髷を見かねた中在家が一度結ってくれて以来
それはいつの間にか朝の習慣になっていた

長次はいつも
特にしゃべるわけでもなくただ手だけをさっさと動かして
器用にきれいな髷を結い上げる

同じ髪でもする者によってこんなに違うのかと私が言えば

中在家は斉藤ほどではないと言ったから

私はそれは当たり前だと笑ったのだった

ウグイスが鳴き始めた今日もまた中在家はせっせと私の髷を結い上げる


「長次」

「何だ」

「いや、何でもない」


ふふと私は笑う

このやりとりもまた習慣になりかけていた

私は一人で決心して失敗して中在家が特に詮索してこないからまた明日とのんきに先延ばしにするのだ

ああいつになったら
彼に感謝の気持ちを伝えようか

彼がくれた数えきれない大切なものへの
感謝の気持ちを


「できたぞ」

「おお早いな」


髪を結ってくれてありがとう。

それさえもまた今日も言えずに
明日へたくす

明日には言えるだろうか

のんきにそんなことを考えながら
ウグイスの声を聞きながら私は明日に期待していたのだ





だけど






「やっぱりあの日恥ずかしがらずに言っておけばよかったなぁ」





気付くのはいつも失ってからだ。











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もっとこう…イメージと違う

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